'73 911T改3.0

ゆっくり走って楽しめるスポーツカー

先日、入庫したばかりのナローの健康診断も兼ねて、少し試乗してました。

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コイルオーバーになっている足のブッシュが硬いらしく、フロントからキコキコ音がするのと、タイヤが経年で硬化してしまっているのと、ハンドルセンターが大きくズレてしまってましたが、概ね健康そうです。

特にエンジンについては、暖気が終るまでは調子が出ないものの、暖まってしまえばビンビン軽く回ります。
この車両はKジェトロの3Lに換装されているので、キャブほどの神経質さは無いのでとても扱いやすく、しかもキャブに近いレスポンスも持ち合わせているので、そのあたりもオリジナルの73Tにはない魅力だと思います。
先日の記事にも書きましたけど、エンジン/ミッションのナンバーマッチングに拘るのもいいですけど、扱いやすくて自分の身の丈に合った仕様に変更されている車両も、背伸びせずに自然体で楽しめるのでボクはとてもいいと思います。
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さて、今回ナローを少し転がしてみてあらためて思ったんですけど、ナローの走りは身の丈に合ってて楽しい!
ポルシェって、964あたりのモデル以降の車(特にチューニングカー)ですと、かなりの速度域まで車を走らせてやらないと、なかなかその車本来の持ち味を出し切る事が出来ないので、それこそ骨の髄までポルシェを味わい尽くるなんて事を考えた場合、そのステージは基本的にサーキットしか有り得ません。
ところがボクなんかだと、ここ数年はサーキットから遠ざかってしまっているので、なかなかポルシェ本来の性能を引き出すような乗り方をする機会なんて滅多にありません。
せいぜい年に数回の走行会やテスト走行でサーキットを走る事はありますが、ポルシェ本来の走りを味わえるのはそんな時くらいです。

まあもっとも、それだったら以前のようにポルシェで草レースに復活すればイイじゃん!とか言われてしまうのかも知れませんけど、今はこういう仕事をしてしまっているので自分が走る事を考えるよりもお客様が走るのをサポートしていきたいって気持ちが強いですし、それに動体視力も無くなっちゃってるし、時間も無いし、そもそもじゅんのすけ号を大破させちゃったから走る車もありません。(笑)
そんな、スピードの世界からかなり遠ざかってしまっているボクがナローを運転してみてしみじみ思うのは、この車だったら普通の速度域で公道でも十分楽めるという事。
じゅんのすけ号のようなチューニング964だと3速全開で現れる挙動が、ナローの場合は法定速度の40kmで現れます。(笑)
なので、ステージをわざわざサーキットに持ち込まなくても、そのへんの近所の公道でスピード違反をせずに十分楽しめるから、今のボクにとってみればすごく身の丈に合ったポルシェなんです。

何も速く走る事だけがスポーツカーの楽しみ方ではありません。
ゆっくり走っても「スポーツ」出来る車もあるのだという事を、今回このナローポルシェから教えてもらった気がします。(^^) 

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