空冷カスタムコンプリート

ナロープロジェクトを終えてみての考察

ナローPJの75カレラについてのお問合せをかなり多く頂いておりますので、今日は75カレラを製作した時の考え方や特徴、作ってから感じた考察等も織り交ぜてご紹介したいと思います。

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<コンセプト>
見た目はナローのようなクラシカルで渋カッコイイ外観で、しかも本物のナローに比べて低価格で扱いやすく、誰のポルシェとも違う「俺だけのポルシェ」をオーダーメイドで作り上げていく究極の趣味車。

<ベース車両について>
今回はたまたまガレージJに在庫車両として入庫した75カレラ(米国仕様)がベースでした。
ボディに亜鉛メッキ鋼板が採用される前の年式ですので、部分的にですがある程度の腐食が見られましたので、一旦バラバラのドンガラにしてからボディをフルレストアしました。
ちなみにドアは964用の亜鉛メッキ鋼板のものを移植して、特に腐食しやすいドアパネルの下部の防錆対策を同時に行いました。
でも、今後もし第2弾、第3弾があるとすれば、76年以降のボディに亜鉛メッキ鋼板が採用されたモデルをベースに選んだほうが、ドンガラにしてボディをフルレストアするような今回ほどのレストア作業を必要としないベース車両も多く存在すると思います。
具体的にオススメなモデルで言うと、3.0SC、3.2カレラ(前期後期)、964あたりになりますが、その中でもより軽さを重視するのであれば、3.0SCか前期3.2カレラ(’84~’86)、ポルシェシンクロが苦手でシフトにカチッとした感覚が欲しいのであれば後期3.2カレラ(’87~’89)がいいと思います。
より現代的なナローに仕上げるのであれば、964をベースにするのも面白いと思いますが、現在の価格相場ではベース車両として使うには現実的ではない価格帯になってますので、予算的には930ベースよりも高くなる可能性が高いと思います。
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<エンジンについて>
今回の75カレラは、元々積んでいた2.7LエンジンがそろそろOHが必要と思われる状態でしたので、たまたまウチでスペアエンジンとして持っていた993カレラ(前期)の3.6Lノーマルエンジンと、廃車になった964から引っぺがしたノーマルコンピュータを移植して制御する事にしましたが、必ずしもエンジンを積み換える必要性はないと思います。
もちろん、見た目はナローなのに3.6を積んでいるというのは今回の75カレラの大きな特徴で魅力的に映る部分かと思いますが、今回はたまたまエンジンやコンピュータやハーネスが近くに転がっていたのでなんとかなったものの、同じような事をこれから新たにやろうとすると、まず既に希少な993のエンジン(もしくは964のエンジン)をどうやって調達するかというところが問題になると思います。仮にエンジンが調達出来たとしても、それをOHし、更に930ボディに載せるときにはボディ側の加工やミッション側の強化等々、見えない部分での苦労が沢山あるので、コスト的にも跳ね上がってしまいます。
なので、これから作るのであれば元々のノーマルエンジン(3.0や3.2)を状態によってはOHして、その上でMOTEC等のフルコンできめ細かな制御してやり、場合によってはタコ足や6スロ等を組み合わせてやる事により、よほどビンビンで面白くて、信頼性が高く、低コストに仕上げられると思います。
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<ハーネス類について>
930系をベース車として選んだ場合、個体によっては配線類がパキパキに硬化してしまってるものも多いと思います。
930まで採用されていた管ヒューズも接点不良を起こしはじめている車が多く、実際、今回の75カレラもその状態でした。
75カレラの場合は、たまたま廃車になった964があったので、そのハーネス類とヒューズボックスを加工/改造しながら75カレラに移植しました。
もし今後このようなハーネスの引きなおし作業をするのであれば、964のハーネスを使わずに国産車用のハーネスを流用するか、MOTECのPDM 等で行なう事で、より信頼性の高い対策を講じる事が出来ると思います。
このようなハーネスの引きなおしについては、特に古い車では必要な状態になってしまっている個体が多いものの、作業の大変さやリスクを考えると、あまりどこもやりたがらない作業だと思いますが、ハーネスは人間で言えば血管と同じで非常に重要な部分ですので、車両の状態次第では避けて通る事の出来ない部分だと思いますし、必要な場合はガレージJでは作業を受けて立つ覚悟です。(ただし、車両持込によるハーネス引きなおしのみのご依頼はお受けする事が出来ませんのでご了承下さい。実際そのようなお話が多いんです(^^;)

<11JホイールやRSRフェンダーについて>
今回はサンバースト製のRSRフェンダーキットに、15インチのRSRレプリカホイール(9J+11J)を組み合わせて、より往年のRSRの雰囲気に近づけました。
これに組み合わされる15インチのPILELLIのP7CORSAも何年か前は製造中止になったそうで、11Jを履きたくても履くタイヤが無いという状況でしたが、現在は生産されていますので、納期はかかりますが正規物として普通に近所のタイヤ屋さんで買うことが出来ます。 
ただし、予算的に抑えるのであれば、敢えてカレラフェンダーのままアロイの8Jや9J(それでも現在は高額ですが)を履かせても、それはそれでカッコ良くキメる事が出来ますし、カレラフェンダーのほうが好きという方も沢山いらっしゃるので、特に11JやRSRには拘らなくても良いのではないかと思います。
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でも、こうやって↑の画像を見てしまうと、やっぱり11JとRSRフェンダーにしたくなっちゃいますよね。(^^;

<エアコンについて>
今回はアメリカからキット物を調達して取り付けましたが、これはオススメ出来ません。
75カレラもエアコンについては今後の課題として残っており、タイミングをみてオーナーのIさんから車両を預かり、国産品等を組み合わせて再チャレンジする予定です。
アイドリング時の補正を含めて、ただいまのところオススメ出来るような方法を模索中ですというのが正直なところです。
75カレラで再チャレンジする事で、ガレージJなりの方法を完成させる予定ですが方法を確立出来ていない現時点ではこうやれば出来るはずだとか、そういった偉そうなことは言えません。(^^;
ただ、個人的には930にエアコンを取り付けるのは、あまりオススメしません。
費用的にもバカになりませんし、せっかくの930の軽さやレスポンスがスポイルされてしまうので、わざわざお金を掛けてまで、結果的にデチューンされてしまうような事をするのは「???」のような気もします。
夏場に空冷に乗るのも、車にとって良い事は一つもありませんし、楽しむのもも季節や時間帯やステージを選んで乗るのも究極の趣味車の楽しみ方のような気がします。
しかしながら、こういう車を欲しがる方の年代は、ボクと同年代で体力も忍耐力も弱くなってきてしまってる方が多いと思いますし、そういう方にはエアコンは必須だとも思います(笑)。
エアコン問題については引き続き方策を追いかけていく予定です。

ちなみにヒーターについては、ガソリンを燃やして暖めるFFヒーターがオススメです。
FFヒーターであれば、今までヒーターを諦めていた「空冷ポルシェ+タコ足」の組み合わせでも、ガンガンに室内を暖めることが出来ます。

<内装について>
今回は、オーナーのIさんと相談しながら、クラシカルな雰囲気の中にもモダンなイメージを取り入れようと試み、赤/黒基調の内装にしました。
ポルシェではあまり行ないませんが、天張りも張り替えてあります。
メーター類はセンサー類を964のものを移植した関係上、964用をそのまま流用しました。
ドアパネルは964用RSドアパネルを張替えて流用し、開閉用の「ヒモ」は雰囲気の合うものを手芸屋さんで入手しました(笑)。
ダッシュボードは元々のものが割れていたので、964用のものををリペア/加工して取り付けましたが、現在はPCでも新品の純正品が手に入るようになりましたので、それを使ったほうが手っ取り早いと思います。
ダッシュのアルミの装飾パネルはナロー純正のものにドアパネルに貼ったものと同じ生地を貼って仕上げました。
リアの背もたれ部分についても964用を塗装した上で流用しています。
シートについてはクラシカルなデザインのCOBRAを2脚取り付けました。
インテリアについてはご予算次第でお好みに合わせて、比較的どのような形にでも出来てしまう部分ですし、運転しながら常時目に付く部分ですから、パリッとキレイに仕立て上げると気持ちいいと思います。
それに、内装にまで手を加えてあるポルシェって意外に少ないですから、仕上げる価値は高いと思います。
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<車検について>
今回の75ナローは、車幅と排気量が変更になりましたので、構造変更後、車検を取得しております。
あくまでも合法的に、堂々と公道を走れる公認車両になります。
今後製作する車両についても、同様に「公認」が基本です(ただし、サーキット専用車両は除きます)。

<価格について>
今回の75カレラの場合、当社のノウハウ収得のための勉強材料という意味合いもございましたので、この車両と同じ仕様のものを同じ価格でというのは難しいですが、それでもエンジンがノーマルという前提でよろしければ、ノーマルの964カレラ2(5MT)を今の相場で購入するのと大体同じくらいの予算をご用意頂ければ、1台作れてしまうと思います(もちろんベース車両含む)。
964とか993を今の価格相場で狙ってる方がいらっしゃるのでしたら、世界に1台だけのこんな自分だけのポルシェを作ってみるのも面白いと思いませんか?(^^)

<ガレージJの今後の取り組みについて>
当社では今後もお客様からのオーダーさえ頂ければ、お客様と一緒になって世界に1台だけの「俺だけのポルシェ」を製作致します。
私どもが持っているノウハウと知恵とネットワークを駆使しながら、お客様の好みに合わせた最高の1台を一緒になって作り上げていきますので、ご興味がおありの方は是非直接お電話にてご連絡下さい(080-3217-0911 ホンダ迄)。
皆様からのご連絡をお待ちしております。 

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