'90 964 Carrera2 5MT ガーズレッド

赤い964のエンジン下回り

先日から販売させて頂いている赤い964カレラ2(5MT)のお問合せを多数頂いており大変ありがとうございます。

すぐに見に来れない方の為に、昨日に引き続いてまた画像をアップさせて頂こうと思いますが、今日は964で一番気になるエンジン下回りの画像です。

この車に限らずこれまで964の記事で何度もしつこく書いてますが、964を買う時は必ずエンジン下回りをチェックしてください。

こんな事なんで964の記事で書いているかと言いますと、歴代のポルシェの中で964が一番オイル漏れしている可能性が高いからなのですが、特に重要なのがそのオイル漏れの箇所がエンジンをバラさないと整備出来ない箇所なのか、そうでないのかによって、買ってから長年維持していく上での維持費のかかりかたが全く変わってきてしまいます。

みなさん空冷ポルシェを買う時に、「車両価格がいくらするんだろう?」というのはとても気にされてるようですが、その割に買ってからの維持費を大きく左右するエンジン下回りの状態については、あまり気にしてない方が多いようです。

これってボクからすると「え?なんで?」って思ってしまうんです。

多少極端な話かも知れませんが、車両を購入するときの車両本体価格とか乗り出し金額については、特にリセールが大きい空冷ポルシェの場合は残価設定型ローンを使って残価設定額やローン期間を調整(もちろんリスクのない範囲でですが)する事で、支払いを楽にすることはいくらでも出来ます。

でも、あとで大枚をはたかないと修理出来ないような重整備(たとえばエンジンOHとか)が必要になった場合は、その時点である程度まとまった額の現金が必要になってしまいます(整備ローンも稀に使っている方もいらっしゃるようですが、車のローンと違って金利がアホみたいに高いのが通常です)。

なので、もしボクが自分で964を買うんだったら、車両本体価格や乗り出し価格がある程度常識の範囲内の相場価格に収まっているようだったら、購入時の一時的な費用よりもむしろ買った後のお金のかかり具合が気になりますので、機関のコンディション(特にエンジン)を入念にチェックします。

誤解を気にせず敢えてもっと突っ込んでお話させて頂きますが、ボクだったらコンディションさえよければ、走行距離(元々964のオドメーターはギアが壊れやすいので止まっていた期間がある可能性もあり、あてになりません)や修復歴(もちろん走行に影響がない事が大前提ですが)や車両価格の多少の金額差、細かい仕様の違いなどは気にしませんし、ボディカラーや年式(前期か後期か)とかも気にしません。

たまに「964を選ぶんだったら絶対後期」みたいな事をいう方もいらっしゃいますが、確かに後期エンジンはクーパリング加工してあるので前期に比べれば多少オイル漏れしにくくなってはいるものの、生産から30年も経ってしまっている今は、後期だからオイル漏れしてないかというと全くそんな事はなく、整備履歴がイマイチなヘタな後期型を選ぶんだったら、きちんと整備されてきた前期型のほうが絶対イイに決まってます。

ちなみに964のエアコンについては、走りと関係ないのでどうでもいいように思うかも知れませんが、ボクなら逆に気にします。

何故ならエアコンは修理すると箇所によっては結構高額になる事も多いですし(ガソリンタンクを外さないと交換出来ないエバポの交換などはかなりの重整備だったりします)、エアコンがちゃんと動作しているかどうかが意外とその車がこれまできちんとメンテナンスされてきたかどうかの判断材料になったりもします。

ちょっと話が脱線しそうになってしまってますが、話を戻してこの964のエンジン下回りは⇊こんな感じです。
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エンジンがオーバーホールされてからまだ2万キロ程度ですのでかなりキレイな下回りです。

でも、よーく見るとオイル漏れしている箇所もあるので、画像をアップさせて頂きますが、そこがあまり気にしなくても良い箇所なのか、気にしたほうが良い箇所なのか、そのあたりもせっかくなので解説させて頂こうと思います。

まず、964定番のチェーンケースですが、⇊ココはやはり少し滲んでしまってます。
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でも安心してください。(^^)

↑ココについては納車整備時にパッキンを交換してオイル漏れがない状態にしてから納車させて頂きます。

あと、ココも定番ですがタペットカバーからも漏れています。

しかも、新車時に付けられているマグネシウム製のカバーのまんまです。
IMG_8084
マグネシウム製のタペットカバーは、30年も経ってしまうと経年劣化で歪んでしまっているものも多く、そうなってしまってるとパッキンをいくら交換してもまたすぐ漏れてきてしまいます。

なので今回は納車整備の中でカバーごとアルミ製のものに交換してしまいます。

こういうのをあとから自分の負担でやると地味にお金がかかってしまいますが、ウチの場合はこのレベルのものはカバー交換ごと納車整備の中でやってしまいますので、ご安心下さい。(^^)

↑のチェーンケースやタペットカバーからのオイル漏れは定番中の定番で、比較的軽い整備で治ってしまうものなので、仮にほしい車が漏れてたとしても「納車整備の中でやっといて」と一言言っとけば、車屋さんが納車までになんとかしてくれると思いますので(笑)、オイルがじゃんじゃん漏れてたとしても、あまり気にしなくてもいいんではないかと思います。

あと、クランクシールも定番箇所になりますが、エンジン後方側はいいとしてもミッション側の交換についてはエンジンとミッションの脱着が伴う作業になりますので、後でやるとなると意外と工賃がかかってしまいます。
程度にもよりますがウチなら納車整備の中でエイヤ!って交換してしまう事も多いですが、エンジン/ミッションの脱着が自社で出来ない工場を持っていない車屋さんなどは断ってくるかも知れません。(笑)
その場合は、あまり酷くないレベルの滲みであれば、クラッチ交換等のタイミングについでに交換するのも一つだと思います。

最後に、もし漏れていたら気にした方がいいかも知れない箇所についてです。

それはスルーボルトからのオイル漏れになりますが、チェックしないといけない箇所は⇊ココです。
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この車は滲みの形跡すら全くありませんが、スルーボルトから漏れてくると、左側のクランクケースとシリンダケースの繋ぎ目からオイルが滲んできて、雫になってたりします(右側にも同じ繋ぎ目がありますが、そっちは漏れる事は少ないのでチェックするのは左側です)。

ちょっとくらいなら放置しておいても大丈夫かも知れませんが、漏れが進んでくると駐車時に床を汚したり、ヒートエクスチェンジャーにオイルが付着してしまってオイルが焦げて危険な場合もあります。

なのでココからのオイル漏れが酷くなってくると修理が必要になってしまいますが、残念なことにエンジンをクランクケースまでバラバラにしないと修理する事が出来ません。

なので、大体はバラしたついでにオーバーホールする事になってしまうのですが、そうなると3ケタの諭吉さんが必要になってしまいます。。。💦💦💦

この部分はアンダーカバーが付いてても、手鏡と懐中電灯を駆使すれば一般の方でも穴の隙間からなんとか確認出来る場所なので、964を購入するときは是非ともチェックしてくださいね。

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最後にくどいようですが、964はチェックすべきところはちゃんとチェックしてから買わないとギャンブルになってしまいます。

ポルシェの見立てを仕事にしているボクでも、964を仕入れる時はちゃんと現車をかなり念入りにチェックしてからでないと、恐ろしくて仕入れは出来ない車です。

ちゃんとチェックするべきところはチェックして、良い964を見つけてください。(^^)

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