DSC05047

今回は先日アイドラーズの12時間耐久を走りきった996耐久号について少し書きたいと思います。


今回JTModeのコンプリートカー6号車(996カレラTip)で12時間耐久に初参戦させて頂いたのですが、これまで996のティプトロでレース参戦はおろか、猛暑の中12時間も走りきるような過酷な耐久レースに出たという話は聞いた事もありませんでしたし、しかも今回はオーナーさんの亡くなられたお仲間の追悼走行という意味合いもあったので、絶対に完走出来る車両を提供しなければならないというプレッシャーの中(オーナーさんからはそんな事は言われてませんが)、何が何でも12時間走り切れるだけの車の準備はしっかりしてきたつもりでしたが、走り出すまでは正直不安で一杯でした。
 
でも、実際に走らせてみると996カレラのティプトロの実力は自分達の想像を遥かに超えたもので、驚くほどの耐久性とパフォーマンスを示してくれました。
DSC04995

今回はボクはサポートする側の立場でありながら、チームオーナーさんのご厚意でドライバーの1人としても参加させて頂きましたが、スタートから6時間後の14:00頃から約50分間と、ゴール直前の19:30からゴールまでの約30分間を運転させて頂いた感想は、車の何もかもが終始安定していて、どこか壊れてしまいそうという雰囲気は全くなく、乗っていて本当に全然壊れる気がしませんでした。
 
水温計は常に100℃付近でピタっと安定していましたし、ブレーキについてはタイムを縮めようとするあまり無理に攻めすぎるとフェードしてしまいそうにはなるものの、淡々と2’30”付近のタイムで周回を重ねるような「耐久走り」をする上では何の問題も無く、それこそ何時間でも持ってくれそうな感じがありました。
 
JTModeの足とハンコンクのSの組み合わせはとても素直な挙動を示してくれるので慌てる事なくコントロールが出来、ティプトロについても最後までフィールングに変化は見られず何の問題もありませんでした。
 
パワーについてはカレラと言えども300馬力あるので、サーキット仕様に軽量化された964に比べてもコーナーの立ち上がりの加速にも遜色がなく、マフラーが効いてるせいか6000回転付近から上も気持ちいいほどパンチがあります(耐久では燃費を考えこの回転域を多用出来ないのが残念ですが)。
 
音についても現地で驚かれた方もいらっしゃると思いますが、レーシングカーさながらのサウンドで空冷ポルシェに一歩も引けを取らなかったと思います。
もう996の音がモーターみたいだなんて言わせませんよ。(笑)
 
ただ、軽量化については助手席を撤去した以外ほとんどされてないので、コーナリングの時はもっと軽くできたらいいのにとは思いますので、例えばボンネットやドアや内装やドライバッテリー等々であと100kg程度軽く出来れば、相当楽しい車が出来上がるはずです。
DSC05029

あと、今回あらためて感じたのはティプトロでサーキット走行が意外とイケる事。
996のティプトロは5速なのでギア比的にもMTで2速で回るコーナーはそのまま2速だし、MTで3速のコーナーはそのまま3速・・・という風に、MTと同じ感覚でイケるのがとても走りやすいですし、それに何といってもブレーキング時にヒール&トゥなどしなくて良いから、ブレーキだけに集中出来てボクのようなヘタクソにとってはコーナー進入時に精神的余裕が出て結果的に速くコーナリングが出来ます。
それとサーキット走行に付きもののオーバーレブのリスクからも完全に開放されるので、これは非常に助かります。
だって1回レブっただけで、レースはリタイヤどころか修理に100万くらい掛かりますからこれはデカイです。

DSC05074 

という訳で、耐久が終ってみると、結果的に一度グラベルに突っ込んだ事が影響してタイヤがバーストしてしまった以外は全くのノントラブルで12時間走りきる事が出来、
初参戦でクラス優勝(しかもティプトロで)というオマケまで付いてきました。

どういう訳か、これまでなんとなく壊れやすいとか耐久性の面で否定的な意見も多かった996カレラですが、実際のポテンシャルは非常に高く、耐久性の面でも極めて優れているという事が今回で証明されました。
しかもコスト的には多分今回参戦しているポルシェ勢の中では一番リーズナブルに済んでるはずですから、コストパフォーマンス的にも極めて優秀な車だと思います。

DSC05075

ガレージJでは約1年半ほど前から996カレラの高性能、高耐久性、低コストという、車としての基本性能の高さに着目し、これまで空冷が主体だったポルシェの人気を996以降の水冷ポルシェにも広める事でポルシェ業界全体がより元気になればと願い、その具体的な手段としてJT Mode製品を通じて996カレラシリーズの良さを広く知って頂こうという活動をしてきたつもりです。
 
これからポルシェの世界に足を踏み入れようとされているあらゆる方々に996カレラの素材としての良さをお伝えし、JT Modeボディキットやコンプリートカー等で996も他のポルシェと同様、弄り方次第でいくらでもカッコ良くなるという事については沢山の方に気付いて頂けたと思います。
 
しかしながら性能や耐久性という「中身」の面では、なかなか客観的に示す手段が不足しておりずっと歯がゆい想いもしてきましたが、今回のアイドラーズ12時間耐久に参加させて頂き完走を果たした事で、996カレラも空冷ポルシェに負けないくらい高性能で信頼性が高いという事を、誰の目から見てもわかりやすい形で証明出来た事は本当に嬉しく思っております。
 
最近少々空冷が高くなりすぎてしまってポルシェを諦めかけていた方々にとってみても、ポルシェに乗る夢を叶える別の手段として996カレラという選択肢もありますよという事に少しでも多くの方に気付いて頂ければ幸いです!

DSC05077





で、参考までに、今回の耐久号の仕様はザッと↓こんな感じでした。
996カレラオーナーの方の参考になればと思います。

<ベース車両の基本情報>
・99年式996カレラ(Tip)ディーラー車
・走行距離:9万キロ
・サンルーフあり
・修復歴なし
・JTModeフルコンプリート(ボディキット、車高調等)

<クーリング(水温)対策>
・エアコンコンデンサーの撤去(ラジエターと重なるように付いている為、空気の抜け側の効率改善)
・タイヤハウスのインナーへのダクトの設置(上記と同様にラジエターの抜け側の効率改善)
・ローテンプサーモスタットへの交換

<ブレーキ対策>
・フロントローターを社外のスリットローターへ交換
・パッドをFERODO DS1.11へ交換

<その他サーキット走行の為の最低限の改造>
・レカロフルバケへの交換
・助手席の撤去
・消火器の設置
・パドルシフトキットの取付
・ステアリング(momo07)の交換
・TAKATA4点式シートベルトの取付
・Sタイヤへの交換(ハンコック)
(その他、JT Modeオリジナル車高調は以前より取付済)

<レース中のトラブルを未然に防ぐ為の予防措置>
・エアマスセンサーの交換
・クランク角センサーの交換
・フューエルポンプの交換
・オルタネーターの交換
・プラグ全交換
・997用エンジンマウントへの交換
・キャニスターバルブの交換

※その他、耐久レース参戦決定以前から既に施されていた予防措置として、インタミベアリングの対策品への交換、ウォーターポンプの交換、ラジエターサブタンクの交換があります。
※水回りのゴムホース類、ヒートエクスチェンジャー、オイルセパレーター等は未交換です。

要は、ブレーキパッド交換やお金のかからない程度の水温対策はされてますが、ほぼドノーマルな状態でした。


耐久号の場合、元JTModeのコンプリートカーだった経緯もあり、オールペンやボディキット等、走りには関係ない面でコストが掛かってしまってますが、もし、耐久レースを走る事だけを踏まえて1から996カレラをベースに上記と同じような仕様の車を作ろうとしたとしても、多分車両代入れてもノーマルの964Tip以下の予算で作れてしまうと思います。
 
このコストで壊れにくい耐久ポルシェを1台作れてしまうんだったら、超リーズナブルだと思いませんか?
何かと敬遠されがちな996カレラ系も、そろそろ本格的に見直されるべき時期に来ているのだと思います。
こんないいポルシェ、放っておくのはもったいないです。