今日はIさんご依頼で製作させて頂いておりました964ナロールックをようやく納車させて頂きました。
ご依頼頂いてから納車まで約2年半かかってしまいましたが、Iさんには辛抱強くお待ち頂いて本当にありがとうございました!
この964を製作するにあたってのIさんの基本コンセプトは「あまりにもムダなことは除き、やれることはすべてやって、最高のナロールックを作ろう!」だったのですが、外装は定番のRSRフェンダーではなく敢えてカレラフェンダーを選択してすっきりとしたルックスにこだわり、それに従ってホイールも今回は930用の7J+8Jの16インチアロイタイプをひと手間加えながら装着しています(964には通常は入りません)。
前後バンパーや前後フード等の主なるボディパーツは964用を製作するのではなくナロー用のものをそのまま使い、ベースが964であるがゆえに出てくる物理的な制約についてはボディ側をナロー用のパーツに合わせる方向で、964ベースのナロールックにありがちなポテっとした不格好さを取り除いているのは今回も同じ手法を使ってますが、今回は964ベースでは初めてとなるカレラフェンダーでしたので、今までのRSRフェンダーでは出てこなかった矛盾点やデザイン的なアンバランスさを取り除くため、この車独自の微調整は何度も繰り返し行いました。
エンジンについてもフルOHしながら6連スロットル化を行っておりますが、街乗りや雨天時の事も考慮に入れてファンネルにワンオフのインダクションボックスを製作して雨除けになるよう工夫したのですが、これによってMOTECのセッティングがいつものデータを流用しただけではレスポンスや乗り味に大きな影響が及ぼされてしまった為、何度も何度も試乗とセッティングを繰り返しながら時間をかけてこの車専用のベストなデータを作り上げております。
これら外装やエンジン以外にもあらゆる点でこれまで製作した964ナロールックとは違う点も多かったこともあって、気が付けば今日の納車を迎えるまで2年半もかかってしまいました。💦
せっかくなのでこの964ナロールックの主な特徴をご紹介させて頂くと・・・・・
まずは外装ですが、フロントはナロー用のバンパーを964ボディに取り付けるために大幅なボディ加工を行っております。
964純正のオイルクーラーやACコンデンサはナローバンパーには物理的に収まらないので、ワンオフのリップスポイラーを製作してそこに収めてます。
ウインカーやダクトは全てアーリーナロー用メッキタイプ、ヘッドライトは当社オリジナルのLEDヘッドライトのシルバー+メッキ枠のタイプになります。
サイドシルは全面的に板金加工を施して、右側はオイルライン、左側はACガスラインをナローと同じように剥き出しにしてあります。
この部分をカバーで囲ってしまうと、ポテっとしたスタイルの964ナロールックが出来上がってしまいます。
前後ガラスは新品交換し、ナロー用のメッキ枠のある窓枠に変更しておりますが、964のガラスには通常このメッキタイプの窓枠を取り付ける事は出来ません。
ここもひと工夫してある部分です。
サイドの窓枠は964用のマットブラックのものを加工して、ナローのようなくすんだメッキ風に加工しております。
この部分もなかなか他では真似のできない部分だと思います。
ホイールは16インチのアロイタイプです。
7J+8Jの930用となりますが、このサイズは通常、964には取り付ける事が出来ません。
フルオーバーホールされた3.6Lユニットです。
6連スロットル+MОTEC制御でレスポンスはビンビンです。
このエンジンに合わせてワンオフ製作したフルエグゾーストシステムです。
可変バルブ付きですが、MОTEC制御により回転数とアクセル開度でバルブを自動的に開け閉めします。
もちろんスイッチで任意のバルブ開け閉めも可能です。
通常時は2本出口、スポーツ走行時(爆音時)は1本出口となり、可変バルブで切替を行います。
内装はカーペットを全張替えした上で、ダッシュボードやセンターコンソール、パーキングブレーキレバー、サンバイザー、ドアパネル、シートベルト、左右レカロシート、モモステアリングと、視界に入るところはほぼ全て新品交換されていますので、内装は新車の雰囲気です。
ダッシュボード下側はナロー用のパネルを加工取付しています。
CAEショートシフターはIさんがどうしても取り付けたいということで取り付けたこだわりの一品です。
最後に可変バルブ付きのフルエグゾーストシステムのサウンドをお楽しみください。
最初は爆音モード、後半は静音モードに切り替えて空ぶかしを行っています。
Iさんはとんでもないお車を何台も所有されてる方なのですが、この964ナロールックもお気に入りの中の一台として末長く楽しんで頂けると嬉しいです。
今回このようなすばらしいポルシェの製作に携わる機会を頂けた事に感謝申し上げます。
この度は大変ありがとうございました!