昨日は岐阜のYさんの964の記事を書きましたが、実はもう1台930があってこちらも売却希望です。
↓’84年式911カレラ(930)5MT(ヨーロッパ231ps仕様)
この930、84年式の前期型ですので915ミッション(ポルシェシンクロ)になります。
シフトレバーの操作をするとき、よく「熱いナイフでバターを切る」とか
「スプーンで蜂蜜をかき回す」とよく形容されるアレです。
ご存知の方も多いと思いますが、930は87年式からボルグワーナー式の
ゲトラグ製G50ミッションを採用し、シフトチェンジはフツーの感覚になりましたが、
この915型はグニャグニャしてて馴れるまでは、いま何速に入っているのかわかりません(笑)。
でもミッションそのものの重量がG50と比べて極めて軽量な事や、
このシフトチェンジの時のグニャグニャがたまらん!という変態さん(笑)には相変わらず根強い人気がある事も事実で、
「930乗るなら915ミッション!」というこだわりを持っている方もたくさんいます。
前置きが長くなってしまいましたが、この930も試乗してきましたので早速インプレです。
シート以外はフルオリジナルのドノーマル。
パッと見た感じですが、決して極上のバリモンという感じではありません。
ボディには↓こんなキズもあり、見てくれを気にする人には板金修理が必要な箇所もあります。
元々レーシングカーのベース車両として数年前にYさんが購入し、
たまにエンジン掛けたり動かしたりして状態を維持してきた車両という事で、
正直、最初は「ちゃんと動くのか?」って少し心配でした(笑)。
でも、キーを捻ると一発始動。
アイドリングも極めて安定しています。
ギアを1速にギュッと押し込む感じも915にしては節度があり、シンクロのヘタリも無さそうです。
アイドリングのまんま、恐る恐る半クラを繋いでみると、難なくアイドリングスタートが出来ました。
オイルが温まってきたところで空ぶかししてみると、3.2フラット6はカミソリのようなレスポンスで
アクセルに追従してきます。
おや?めっちゃ調子イイ!!
気分が良くなってきたので一般道をかなりのペースで飛ばしてみました。
すると、ノーマルの930が元々持っている素晴らしい特性がすぐに体感出来ます。
加速した時の後ろからググッと押し出されるような強大なトラクション、コーナー入り口でドーンとブレーキングした時に
4輪で路面をグッととらえて減速するポルシェ独特のRRのブレーキ特性や、
コーナーではロールしながらリアの挙動に気を遣いながら出口ではトラクションにものをいわせて
一気にドーンと加速してクリアしていくようなコーナリング感覚・・・etc...
忘れかけてたフルノーマルの930の、空冷ポルシェが本来持っている素晴らしい感覚を
思い出す事が出来ました。
ボクのポルシェも含めて、最近はフルオリジナルの空冷ポルシェってほとんど見かける事もないし、
乗る機会もめったに無いので、この930の感覚は逆にとても新鮮です。
ボディもにキズがあり見た目は決して極上とは言えませんが、
この車は機関がめっちゃ調子が良く(クーラー以外は)、中身はとっても素晴らしい状態です。
試乗のあと、一応リフトに載せて下回りのチェックをしてみましたが、これがまたビックリ!
オイルの漏れどころか滲みすら見当たらず、サラッサラの状態でした。
’84カレラでこの状態を維持している個体は、正直めっちゃめずらしいです。
生産されてから25年、よほどキッチリ整備してきてないとこの状態を保つ事は不可能です。
オドメーターは6万キロ台を指してますが、これはおそらく実走でしょう。
試乗した時に「この930は中身が素晴らしい!」と感じた感覚は、どうやら間違いではなかったようです。
この930、これからポルシェを経験してみたいと企んでいらっしゃる方には、
お手軽に楽しんでいただける、まさにうってつけの材料だと思います。
価格については、ちゃんと整備が行き届いている個体が店頭に並んだ時の相場の半額程度で考えています。
最近の立派な軽四買うよりも安いです。
ボディの細かいキズ一つ一つを気にする、ピッカピカの超極上930をお探しの方には無理ですが、
930本来の、他の車では決して味わえないポルシェの魅力を手軽に味わいたいという中身重視の方には
十分以上にオススメできる車です。
このブログを日頃からご覧になって頂いてて、これからポルシェの入り口に一歩踏み出そうと考えられてる方、
いかかでしょうか?
ポルシェは意外とリーズナブルに楽しめます。
決して夢ではありませんよ!
この930にご興味をお持ちの方は、↓こちらまでメール下さい。
junnosuke911@yahoo.co.jp