'03 996GT3

964乗りから観たGT3 3

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今回は前回書けなかった空冷と水冷のボディサイズの違いやコーナリングの挙動の違いがどう感じるかについて書きたいと思います。
空冷ポルシェは良くも悪くも決して万人受けしない、ある程度のクセを持ったマニアックさがあると思います。
4シーターとはいえとても狭い室内、最低限の快適装備しか備えていないスパルタンさ、ショートホイールベースであるがゆえの乗り心地の悪さ、スポーツ走行以外では窮屈な運転姿勢、etc・・・
このような特徴は一般人には受けなくても、ボクも含めて空冷ポルシェ好きにとってはたまらない魅力だと思います。
一方、水冷の996GT3はどうでしょうか?
イメージは全く違います。
現代の高級スポーツカーとして十分通用する室内の居住性を持ち、快適装備は充実していて、
ハイパフォーマンスながら安全装備や車両制御デバイスも装着済みです。
そして何より運転してみて感じるのは、空冷ポルシェでは床から生えてたオルガンペダルが水冷では一般的な吊り下げ式に変更されていたり、固定式だったハンドルがドライバーの体型に合わせて調整可能になったりと、「ポルシェ」だからといって気負う事なく、一般的な車を運転する感覚に極めて近くなってるし、国産車から乗り換えてもあまり違和感は感じないと思います。
 
ホイールベースについては若干伸ばされ、あらゆるシチュエーションに対応出来るようになった足回りは乗り心地も良く、街乗りで使ってもリラックスして運転出来ます。
多分、これなら隣に彼女や奥さんを乗せても文句は言われないはずです。
このへんにポルシェの時代の要請に合わせて柔軟に対応しているメーカー姿勢が窺えます。
こういった水冷ポルシェの性格は、乗り味にもそのまま現れています。
細かい事を挙げていけば切りがありませんが、一番顕著なのがコーナリング(特に高速)です。
空冷ポルシェの古い型になればなるほど、限界を超えたときに突拍子もなくリアがブレイクしてしまい、これに慣れてないとパニックになってしまうのですが、GT3はRR特有の挙動がマイルドになっている事に加えて、一般的な運転では、シャシーがしっかりしていて車の限界が高いから、まず限界を超える事も少ないので、ブレイクしてパニックに陥る場面も少ないですし、意外なほどフロントの接地感やリアの滑り出しがうんとわかりやすくなっているので、精神的にもドライバーの負担が軽くて済みます。
 
実はこのへんの挙動のわかりやすさが絶妙で、一般的にはダイレクトさが無くなったと評される水冷ポルシェですが、ボク個人的には、水冷ポルシェのほうがコントロールしやすく、高速になればなるほど自分で操ってる感があって面白いと感じています。
空冷の高速コーナーって、ヘタっピなボクだと未だに怖く感じますからね。(苦笑)
こういったクセのなさが、空冷ポルシェに乗り慣れてしまった昔っからの911ファンにしてみれば、「水冷は面白くない」と感じる部分かも知れませんが、乗り慣れてしまえばフツーのヤツでは満足出来ないよほどのMとかよほどの空冷オタクでもない限り、水冷ポルシェは面白く感じると思います。(笑)
ましてやこれまでポルシェを乗ったことがない人が、普段の足としても使う事を前提にポルシェを選ぶのであればGT3って違和感なく乗れて、「ポルシェ」を楽しめると思います。
「コレは普段乗り用」とか「コレはサーキット専用」とか、用途別に車を何台も所有出来るお金持ちならいざ知らず、一般的な方にとっては、こういったGT3の1台で何でもこなせるパルチパーパス性ってとても魅力的ですよね。(^^)

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